阿寒湖マリモ群生地での水草刈り取りボランティア


 7月27日、28日、亜寒帯ラボ事務所がある当別町から東へ約300㎞(概ね東京ー愛知間の距離)にある阿寒湖で、釧路市教育委員会マリモ研究室のご依頼によるマリモ群生地での水草刈り取りボランティア作業を実施し、無事終了致しました。

 マリモ群生地では、増えすぎた水草がマリモの生長に必要な波の力を弱めるなどして、マリモの生育を妨げていることが確認されています。このため、当市教育委員会では2018年から漁具を使って船上から水草を刈り取っていますが、マリモの近傍に生えた水草を刈り取る場合、漁具によってマリモを痛めてしまう恐れがあります。そこで私たちは、このようなデリケートな場所に生えた水草を潜水作業によって丁寧に刈り取るお手伝いを致しました。



 
 亜寒帯ラボが所有しているタンク本数は限りがあるため、今回の作業は1回の潜水(1時間)を4人で行い、湿重量で約300キロの水草を刈り取る事が出来ました。
 マリモがすくすくと育つ環境が戻ってくると良いですね。





 今回の活動水域は、普段から人の立ち入りが厳しく制限されていて、調査や保護活動を行う際は特別な許可が必要な場所です。当日の水温は約20℃で、水深は2.5mから4.0mの範囲でしたが、


  • 水底には国の特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」が群生しているため、着底などマリモに触れたり乱したりする行為は厳禁。加えて水深が浅いため中性浮力の維持が非常に困難。
  • 水草を刈り取る際に、シルトなどが巻き上がるため低視界潜水。


といった、ハードルが非常に高い水域です。このため以下の2つの条件を満たす参加者を対象としました。


  1. 各ダイビング指導機関のマスタースクーバダイバー資格以上であること
  2. JAUS会員であること


 求められるスキルは、中性浮力での水平姿勢キープ(皆さんもご存知の通り、浅い水深は気体の体積変化も大きいため、浮力調整、姿勢保持が難しいのです)移動はモディファイド・フロッグキック、ヘリコプターターンが基本です。これらは、一般的な指導機関のトレーニング項目には無いフィンワークでもあります。
 JAUSプライマリーコースをベースに、トレーニングと評価が必要であると感じました。JAUS亜寒帯ラボでは、今後もマリモ研究室と相談して参加者の条件や評価・管理方法などを構築し、より良い協力関係を築いて参りたいと思います。


 
 是非みなさんも、亜寒帯である北海道の特別な環境について、そしてマリモについて知っていただき、このボランティア作業への参加、そのためのスキルトレーニングを、ダイビング目標の一つに加えて頂ければ幸いです。

参加された皆様、大変お疲れ様でした。

マリモWeb http://marimo-web.org/

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