夏の北海道 積丹ダイビングDAY
原点回帰
特定非営利活動法人 日本水中科学協会(JAUS)須賀次郎代表理事曰く、「ダイビングは、サークルやクラブ活動主体に戻るよ。」
歴史は繰り返すのか、原点回帰なのか。
ショップ依存を全く否定するつもりも無いですが、Cカード(サーティフィケーションカード/認定証)の本質を考えると、ダイバーは法的問題や地域のルール、モラルなどを守る限り、インストラクターやガイドが付かなくても、経験した環境下でバディとダイビングを楽しむことが出来るので良いことだと思います。
インストラクターとしても、講習生の皆様が、自分たち主体でダイビングを楽しめるように、トレーニングを行うわけですから、仲間内で潜る、サークルを作る、クラブで潜るということは本懐なのです。
ですが、情報は更新されてゆくものですし、また、いつの間にか勘違いを起こしてしまうことも、よくあることなので、振り返りの復習トレーニングはとても重要。
JAUS亜寒帯ラボの活動も、ようやく形ができ始め、活動目標である「安全ダイビングセミナー」を開催出来るようになってきました!
そこで、8月14日、積丹町美国町にて「夏の北海道 積丹ダイビングDAY」ひとことで言い表すと、JAUS夏フェス!と称し、安全ダイビングセミナーを開催いたしました!
ダイブコンピューターを忘れてきたぞ(汗)どうする?
DIVE1みなさん、朝、出勤した時、お家に携帯電話を忘れてきたとします。
ものすごく気になったり、心配になったり、仕事に集中出来なかったりしませんか?
実は僕もそうなのですが、それだけ、携帯電話に依存していると言うことですよね?
では、海に到着した時、ダイブコンピューターを忘れてきた事に気づきます。
どうでしょう?不安感たっぷりじゃ無いですか?
数えたわけではありませんが、多くのダイバーが、不安に感じるのでは無いでしょうか?
ダイブコンピューターに依存している事、忘れた時の装備に不足がある事、etc
今回は、そこに「気づく」プログラムでした。
目標は、
・自分がどのくらい呼吸しているのかを理解する
・ダイブテーブルの勘違い、落とし穴を解消する
・バディで行動し、計画通りエギジットする
・ダイブコンピューター無しでも潜る方法を実践する
です。
自分がどのくらい呼吸しているのかを理解する
結局のところ、ご自身が、一体どのくらい呼吸しているのか?を把握している方は少ないのでは無いでしょうか?空気がもつ、もたないなど、とってもアバウトな捉え方をしていると思うのですが、僕の勘違いでしょうかね?
でも、ちょっとまった!
ご自身がどのくらい呼吸しているのか?=RMV(分時呼吸量)をしっかりお答え出来る方にならないと、自分たちでのダイビング、セルフダイビングはむずかしいものになります。
RMVは、過去のログデータから計算することができます。
その計算の結果(計算方法は、各ダイビング講習で習うことができます)
例えば、
RMV=15L/min
潜る最大水深=12mまで(絶対圧力2.2bar)
使用するタンク=10Lで200bar
環境要因として、遠浅であり比較的潜りやすく、帰りに5m~3mラインが続くため特段に停止をしなくても良いビーチダイビング。でも何らかの問題で息があがるかもしれないので、呼吸量へ負荷要因を20%プラスして考えると、、、
15L × 2.2bar = 33L/min(12mでの分時呼吸量)
33L × 1.2 = 約40L/min(負荷要因20%プラス。寒いとさらに30%プラスです)
タンクの残圧は、30bar残すと考えて(今回の環境要因から、安全停止分などのガスを考慮しないでこのまま計算)
200bar - 30bar = 170bar(使用できる圧力)
170bar ÷ 2 = 85bar(往路で使用できる圧力)
85bar + 30bar =115bar(ターンプレッシャーで、引き返す時の圧力)
85bar × 10L = 850L(片道で使用できるリッター数)
850L ÷ 40L = 21分(片道の移動できる時間)
計画であれば、この場合、エントリーからエギジットまで42分となります。
このことから、潜る環境が経験したことがある場所が前提と言うことはもちろんで、最大水深や地形が把握できていれば、使用するタンクの大きさと、自分の呼吸量から、行動できる範囲を定義することができるわけです。
※環境要因は季節などによっても変動しますし、残す圧力も、水深や潜り方によって変わります。
☆ダイブコンピューターが無いにしても、潜水時間を見ることができるダイバーズウォッチは必要ですし、残圧計は必須と言うことになりますね。
ダイブテーブルの勘違い、落とし穴を解消する
先ほどのRMVは、実のところ、ダイブコンピューターが有ろうが無かろうが、必要な情報です。次に、限界時間についてですが、、、これが勘違いされやすい部分です。
ダイブテーブルでも、ダイブコンピューターでも、MDT(最大潜水時間)またはNDL(停止不要限界時間)は使いますよね?
例えば、ダイブテーブルのMDT、12mで130分が限界となっています(NAUIダイブテーブルの場合)。これ、130分まで潜れる!と勘違いして捉えているかた、多いかも!
先ほどのRMVは、どうでしょう?
10Lタンクの場合、片道21分で引き返し、合計42分。
確かに残圧に余裕を持たせてはいますが、130分は何と3往復分に相当しますよね?
いけます?
ダイブテーブルは、RMVを計算に入れていません。
これが、ダイブテーブルの落とし穴なのです。
と、言うように、よくある話として、潜水計画を立てる際、RMVを無視して、このダイブテーブルの限界時間を潜っていられる時間とする計画、もっとよく無いのは、マルチレベルで計算してくれる便利なダイブコンピューターのNDLを潜っていられる時間と勘違いをしながら潜り続ける行為なのです。
要は、計画時のRMVと限界時間の天秤で、短い時間を選択することが重要なのです。
☆ダイブコンピューターを忘れた場合、その日の計画は「ダイブテーブル」で行うことが大切です。海へ行く際は忘れずに。
バディで行動し、計画通りエギジットする
あとは、バディとの調整です。計画段階で、どちらの方が潜っていられる時間が短いのか?
どちらがリーダーシップをとるのか?
バディチェック、ハンドシグナル、はぐれた場合の対応を打ち合わせ
エアシェアについても確認
などを、過去に習った通り行えば良いのです。
これが忘れられがちなんですよね。
今回は、しっかりと、チェックリストを見ながら実施していただきました。
ダイブコンピューター無しでも潜る方法を実践する
今までの話から、・時間の計測は重要です。
・RMVの計算は必須!
・ダイブテーブルを使いましょう。
と言うことでしたが、、
水深計も必要です。
しかしながら、これもダイブコンピューターに内蔵されているので、アナログを持っている方は少ないですね。セルフで潜る時は、持っていた方がいいですよ。
もしなければ、、、
いつも、なんども潜った経験があり、水底が計画の最大水深であって、地形も把握しているポイントを選んで潜ることが大事です。
と、言うことで、これらを考慮した結果、
今回は、参加者全員、NAUIマスタースクーバダイバー以上の方で、潜水経験も豊富ですから、いつもの「茶津海岸」で潜水いたしました。
みなさん、大変よく理解されていて、スムーズに、計画通りのバディ潜水を行なっておりました!
まとめますと、、
セルフで潜る時は、安心できる計画を立てて潜るために、・ダイバーズウォッチを持とう!
・アナログ水深計も用意しておこう!
・ダイブテーブルも使えるようにしておこう!
・RMVを計算しておこう!
・バディに頼りすぎる潜水はやめましょう!
・不安であれば、安心できるいつものポイントで潜ろう!
・それでも不安であれば、その日はあきらめましょう!!
と、言うことでした☆
なお、時間や呼吸量から、距離を概ね計算できるようになる、NAUI アンダーウォーターナビゲーションスペシャルティコースの受講もお勧めいたします。
バディとはぐれたぞ!どうする?
DIVE2
バディとはぐれた場合の対処を復習。。。と言っても、正直、バディとはぐれた場合の対処は、実のところ、トレーニング経験が無いんですよね。だいたい口頭での説明。
なので、インストラクターと講習生の間に認識のズレがあると言われています。
そこで、シミュレーションではありますが、実際にみなさん行なっていただきました。
目標は、
・正しく落ち着いて、バディとはぐれた時の対応ができること
・潜水前に確認をするダイバーになること
でした。
キーポイントは、水面待機後、どのくらい待機していればいいのか?
これを、ディスカッションしていただき、実際にシミュレーションで計測した結果、心配で5分は待っていられない(いち早く118や周りへの救助協力依頼)との結論になりました。
安全管理として、潜水前のはぐれてしまった場合の対処方法や緊急行動までの時間の確認、危機管理として、約束した時間以上バディが浮上しなかった場合の緊急対応の確認が必要だと言うことを理解いただきました。
また、今回の活動に、水中トランシーバー ロゴシーズを使用いたしました。
これは、バディとコミニュケーションをこまめにとる、また、緊急時のシグナルを発信できるので、セルフダイバーにとって、非常に有効なアイテムだと考えています。
是非みなさんに使っていただきたいです。
最後に
最近の潜水は、フォト派ダイバーが多く、同じ水深で粘ることも多いような感じを受けます。
そして、長時間潜水も多いかもしれません。
悪いことではありません。楽しいダイビングと言うことは間違いありません!
ひょっとすると、ダイブテーブルのスクエア式のような潜り方、増えたかもしれません。
この時代だからこそ、ダイブテーブルのアナログダイビングも良いかもしれませんよ?
と、言うことで、
これからも、亜寒帯ラボとしては、セルフで潜られるみなさまへ、
安全と楽しみに繋がるセミナーや、研究活動を提供して行けるように今後も努力してまいります。
もし、本活動にご賛同いただける場合は、JAUSへの入会もご検討ください。
海も楽しかった!
懇親会も楽しかった!
また海へ行けるように、
みなさまも、お仕事頑張ろうね!!

コメント
コメントを投稿